お知らせ

2026年5月29日

廃棄されたコスメが、キラキラ輝くクレヨンに。エシカルクレヨン「ハロヨン」が生まれた理由

「買ったコスメが肌に合わなくて、泣く泣く処分した」
「かわいいパッケージに惹かれて買ったけど、似合わなくて捨ててしまった」
コスメを買ったあと、そんな経験をしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
株式会社モーンガータが5000人に行った調査によると、コスメを使い切れずに捨てるユーザーは86.3%以上。さらに、化粧品メーカーから出る化粧品の廃棄量は、国内上位5社だけでなんと年間約2万トンもあることがわかっています。
深刻な「コスメロス」を解決するために立ち上がったのが、使いきれなかったコスメを回収し、クレヨンにアップサイクルするプロジェクト「COSME no IPPO(コスメノイッポ)」
発起人である大澤美保さんに、かわいいクレヨンに込めた真摯な想いを教えてもらいました。

大澤 美保(おおさわ・みほ)
慶應義塾大学環境情報学部卒業。PR会社、エンターテインメント系企業、オーガニックコスメ企業にて一貫してPR業務に従事。2018年1月にBeauty PRコンサルタントとして独立。2021年8月に合同会社Maison de Mouを設立。カラーコスメのアップサイクル事業「COSME no IPPO」開始。現在、Beauty CommunicationとしてのクライアントワークとCOSME no IPPO事業を手掛ける。

コスメを「捨てる罪悪感」を、次の誰かの「ワクワク」へ

ーー見ているだけで心ときめくデザインですね…!「COSME no IPPO」の製品の特徴を教えてください!
大澤さん:
「COSME no IPPO」では、役目を終えたカラーコスメを回収してアップサイクルし、エシカルなクレヨン「ハロヨン」を作っています。
さまざまなコスメを使ってクレヨンを作るので、色や書き心地は唯一無二。約12cmの「ハロヨン」や、約2cm四方の四角錐の「ハロヨン ミニマル」を展開しています。

四角錐の形をした「ハロヨン ミニマル」。まるで宝石のようなかわいらしいデザイン。

ーーよく見るとクレヨンの表面がキラキラしていますね。パッケージのデザインもシンプルでかわいいです。
大澤さん:
キラキラしているのは、ラメが入ったカラーコスメをアップサイクルしている「ハロヨン」ならではの魅力なんです。
クレヨンはお子さんが使う画材というイメージを持たれている方が多いですが、大人の方々にも手に取っていただきたいという想いから、シンプルで洗練されたパッケージにしました。

「ハロー!」と「クレヨン」をかけ合わせた「ハロヨン」

大澤さん:
また、「どんな色が入っているんだろう?」と想像を膨らませてもらえるよう、箱をモノクロのデザインにしています。
購入された方には、ハロヨンだからこそ味わえる「色との一期一会の出会い」を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ーー手放したコスメがこうしてかわいいクレヨンに生まれ変わって、誰かのもとに届くと思うと嬉しい気持ちになりますよね。
大澤さん:
コスメが好きだからこそ、捨ててしまうことへ罪悪感を覚えたり、悲しい気持ちになったり…。そんな方はとても多いと思うんです。
もちろん、廃棄されるコスメを減らすことは大事です。でも、大好きなコスメを買ったときのワクワクをそのままに、違う形で次の誰かに届けたい。そんな気持ちで「COSME no IPPO」を運営してきました。

「子どもたちが希望を持てる未来を残したい」子育てをしながら事業をスタート

ーー大澤さんご自身がコスメロスの問題に向き合いたいと考えた、「最初の一歩」はなんでしたか?
大澤さん:
きっかけは、2人の子どもが生まれたことでした。子どもを育てる環境を考えるうちに、異常気象を始めとする環境課題に敏感になったんです。
「人生100年」と言われるこの時代に、「子どもたちが生きる100年後の世界は、もっと大変なことになるんじゃないか」と不安を感じるなか、子どもたちに少しでも良い未来を残すために、「ここで動かなきゃ!」と次女を出産した直後に行動を起こしたんですよ。

ーー子どもたちの未来を守るために、何か変えたいと思ったんですね。
大澤さん:
とはいえ、最初から私だけで大きなことをするのは難しい。だから、まずは仕事をするなかで感じてきた課題を解決しようと考えました。そこで、色々考えた末に行き着いたのが、美容業界のゴミゼロを目指すというものです。

大澤さん:
私自身、10年以上美容業界でPRの仕事をしていて、さまざまな職種の方とお会いする中で、コスメの廃棄問題は根深いなと思っていました。
それを楽しい形で解決に導ける方法はなんだろうと考えて立ち上げたのが「COSME no IPPO」なんです。

ーーそうだったんですね。そんななか、最初に「クレヨン」を選んだ理由はなんでしたか?
大澤さん:
コスメといえば、バリエーション豊富なカラーや、キラキラと輝くラメが魅力的。そんな美しい色や質感をそのまま活かすには画材にアップサイクルするのがぴったりだと考えました。
数ある画材のなかでも、クレヨンならパッケージも最小限に抑えられて、最後まで使えるから環境負荷が少ない。さらに、アイシャドウやリップを選ぶときのワクワクする気持ちを、そのまま込めることもできるんじゃないか、って。
そんな想いでたくさんの工場にアプローチをかけ、コスメをクレヨンにアップサイクルできる製造元に出会うことができました。

目指すは「美容業界のゴミゼロ」。「COSME no IPPO」で最初の一歩を

ーー実際に「COSME no IPPO」の商品に触れた方から、どんな反響がありましたか?
大澤さん:
クレヨンのラメやくすんだ特有の色合いなどを気に入って、「絵を描いていたらラメがきれいにつきました!大切な人にプレゼントしたら喜んでくれました」などと言ってくださる方がとても多いです。
また、みなさんから回収したコスメにはお手紙が同封されていることが多いのですが、そのなかには「大好きなコスメが誰かのためになって嬉しい」「以前より環境について意識するようになった」などといった言葉が丁寧に書かれていて、そのたびに心が温まります。

「COSME no IPPO」のプロジェクトに共感し、送られてくる役目を終えたコスメの数々。
現在は回収を停止中。

ーー大澤さんの気持ちがプロジェクトを通じて伝わっているんですね。
大澤さん:
「COSME no IPPO」を立ち上げてから、プロジェクトの理念に共感してくださった大手百貨店や企業などと連携してカラーコスメの回収イベントを実施してきました。多くのお客様に知って頂き、カラーコスメに関わる環境意識を広げる大事な機会になっています。
コスメを販売する側の立場に立つと、より多くのコスメを購入してもらうことを目指されるのは当然です。

ーーたしかに…。

大澤さん:
でも、日本国内の大手化粧品メーカー5社から廃棄されるコスメの量は年間2トン。5社のみでそれだけの量が廃棄されているのですから、それ以外のメーカーや店頭、個人の所有分などを合わせれば私たちの想像をはるかに超える量が捨てられていることになります。

大澤さん:
だからこそ、現状を変えていくための一歩として、メーカー側も消費者側も意識が変わっていくとよいなと考えています。
まずはコスメが大好きな私たち一人ひとりが「好きだから買う」状態から「好きだからこそ、本当に必要かよく考えてから買う」という意識を持ちたいものです。

ーー新作のコスメに飛びついていた身としては、耳が痛いです…。
大澤さん:
コスメを楽しみつづけるためには、サステナブルについて考えることは不可欠です。それを「意識が高いこと」と敬遠せず、小さなことから始めてみてほしい。その第一歩を「COSME no IPPO」が担えたら嬉しいですね。
社会を変えていけるようなきっかけを生み出しつづけ、いずれは「美容業界のゴミをゼロにすること」が私の目標です。

(取材・執筆=目次ほたる(@kosyo0821)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)/(撮影=深谷亮介(@nrmshr))

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